検索
もこもこしたフェルトピアノのミックスに最適 - Waves Genius

もこもこしたフェルトピアノのミックスに最適 - Waves Genius

2023.10.17

Wavesには有名エンジニアのテクニックを少ない操作で実現するSignatureシリーズがあります。その中でも筆者が一番よく使うのがGW Piano Centricです。GWは、AdelやKaty Perryなどを担当している有名エンジニアのGreg Wellsのイニシャルです。ここでGreg Wellsさんのコメントを引用します。

>Greg Wellsからのメッセージピアノはとてもレコーディングの難しい楽器で、ミックスに馴染ませるのは更に困難だ。僕自身30年にわたって、スタジオ・ミュージシャンとしてピアノを演奏してきている。そしてエンジニアがピアノに加える処理が僕の頭のなかにあるサウンドに近づくたび、その作業に物凄く注意を向けてきたんだ。PianoCentricの内部には、こうして長年僕が学んできた素晴らしいピアノサウンドをつくり上げるためのテクニックが、すべて詰まっている。 このプラグインには二つの異なる方向性をもたせている。一つは、ドラムを始めあらゆる要素が混在するミックスでも、抜けの良いゴージャスでパンチ感のあるピアノ。もう一方は真逆のアプローチで、古いモノラルマイクをピアノの中に立てて収録したようなサウンド、ローファイでクランチ感もある。ぜひ楽しんでほしいね!

私はエンジニアでもプレイヤーでもありませんが、ピアノの録音もミキシングも難しいことは経験的によくわかります。私も自分でミックスを行うとき、特にポップスやCMソング等において、ピアノがNo EQ、No Compで済むことはありません。少しいじるだけでピアノらしさが失われたように感じてしまうのです。音域の広さと倍音、アタックとリリースの自然さ、その全ての要素がピアノたらしめていると思っています。だからこそ思い切った処理ができずになかなかミックスが決まらないということが起こってしまいます。このPiano Centricはその思い切った処理をワンノブで行えます。こんなに難しい楽器の処理を、細かく繊細に調整していてはキリがない!・・・と、思い切れるワンノブ設計こそがこのプラグインの真骨頂だと思います。このノブは劇的に変化するのですが、どこかにちょうど良い塩梅が見つかるはずです。かといっていかにもEQしたという不自然さは可能な限り出ないように作られています。ノブのセンターから順方向では、エアー感が足されたナチュラルなサウンドからカリッカリのピアノサウンドまで。逆方向はレトロでローファイなモノラルピアノにモーフィングできます。このモーフィングがどこを取っても説得力があり、曲の盛り上がりに合わせてオートメーションを書くことで、楽曲中での押し引きがかなり簡単にできます。これはワンノブだからこそですね。

また、内部に実装されているワンノブDelayとワンノブDoublerもすばらしくよくできています。DelayはBPMシンクしたディレイなのに、全体をふわっと持ち上げるような雰囲気で、ピアノの原音を邪魔しない絶妙な設定。Doublerも自然で邪魔をしないのに効果的という、もうこれしかないという黄金比みたいなものを感じます。このDelayとDoublerを単体で欲しいくらいです。これもワンノブだからこそ曲の中で変化を出しやすい。

Greg Wellsさんの「ピアノに対するプロセスの黄金比を詰め込んだ」というべきすごいプラグインだと思います。僕にとってPianoは一番身近で大切な楽器なので、そのミックスに使うファーストチョイスになると思います。

実際に使って解説した動画はこちら


プロフィール

nakashimayasuhiro

ナカシマヤスヒロ

ゲーム音楽や現代音楽に影響を受け、10代からコンピューターを使った作曲を始める。

大阪芸術大学映像学科在学中に映画・映像作品のための作曲法を独学。ドイツの映像制作会社との仕事をきっかけに、国内外問わず様々なCM映像やTVドラマの音楽制作の依頼を受けるように。

日本人離れした音作りの感性と、欧米人から「オリエンタル」と評される個性が共存した独特の作風に定評がある。

Twitter

Youtube

人気記事

リズム隊のミックスTips! – Vol.7 ギター前編
リズム隊のミックスTips! – Vol.7 ギター前編

「リズム隊のミックスTips」。今回はギター前編です。

リズム隊のミックスTips! – Vol 3.1 番外ハイハット編
リズム隊のミックスTips! – Vol 3.1 番外ハイハット編

おかげさまで好評を頂いている「リズム隊のミックスTips」。イントロダクション、キック、スネアとここまで来ましたので、本日はハイハット編。番外編なので、Vol.4ではなく「Vol-3.1」としています。

もう部屋鳴りに悩まない。AIが不要な反響音を除去〜Clarity Vx DeReverb〜
もう部屋鳴りに悩まない。AIが不要な反響音を除去〜Clarity Vx DeReverb〜

ナレーションやボーカルを録音した際に、部屋の響きで言葉が聞き取りにくかったり、「部屋鳴り感」が強く出て映像や楽曲となじまなかった…そんな経験はありませんか?レコーディングスタジオのように本格的な吸音処

DiGiGrid DLS導入レポート – 鈴木Daichi秀行
DiGiGrid DLS導入レポート – 鈴木Daichi秀行

2013年のNAMMショーで発表され、ネットワークで自由にI/Oを拡張でき、Wavesプラグインが超低レイテンシーで使えるソリューションとして注目を集めてきたDiGiGrid製品ですが、2014年10月、ここ日本でもPro Tools向け

Waves Curves AQ vs Curves Equator: 2つの製品を正しく使い分けるためのTips
Waves Curves AQ vs Curves Equator: 2つの製品を正しく使い分けるためのTips

Waves Curves AQとCurves Equatorが、あなたのミックスのアプローチをどう変えるかをご紹介します。トーンの問題を解決し、音色や存在感を引き出し、これまで以上にスマートかつスピーディにプロフェッショナルな仕

リズム隊のミックスTips! – Vol 3 スネア処理編
リズム隊のミックスTips! – Vol 3 スネア処理編

好評連載中、オフィスオーガスタの佐藤洋介さんによる「リズム隊のミックスTips」。今回は3本目となるスネア処理編です。BFD3を使用したTips記事ですが、他社のドラム音源でも、実際のドラムレコーディングでも有効

人気製品

Ultimate
Abbey Road Reverb Plates
Abbey Road Reverb Plates

1950年代に生まれたプレートリバーブは、現在まであらゆる音楽レコーディングに欠かせない要素であり続けています。60〜70年代、ビートルズやピンク・フロイドを始めとする先駆的バンドに頻繁に使用されたのがアビー

Ultimate
API 550
API 550

60年代後半に誕生し、API独特のパワフルかつ滑らかなキャクターを決定づけた伝説的レシプロ・イコライザーを、プラグインで再現

Ultimate
Essential
C4 Multiband Compressor
C4 Multiband Compressor

C4は、マルチバンド・ダイナミクス・プロセッシングのパワーハウス。あらゆるダイナミクス処理をマルチバンドで解決します。4バンドのエクスパンダー、リミッター、コンプに加え、ダイナミックEQとスタンダードなEQ

Ultimate
Clarity Vx DeReverb Pro
Clarity Vx DeReverb Pro

より高速なダイアログ編集ワークフローへようこそ - これまで以上に強力に、正確に、コントロールしながら、音声からリバーブを除去します。Clarityの先駆的なAIテクノロジーは、録音を瞬時に、そしてリアルタイムで

Ultimate
Codex Wavetable Synth
Codex Wavetable Synth

Waves Codexは、グラニュラー・ウェーブテーブル・シンセシス・エンジンを基本とする最先端のポリフォニック・シンセサイザーで、Wavesのバーチャル・ボルテージ・テクノロジーを採用、VCF、VCA などを搭載する実際

Ultimate
Clavinet
Clavinet

スティービー・ワンダーの「Higher Ground」や「Superstition」、ビリー・ブレストンの「Outta Space」など、ファンキーな音楽にクラビネットの音を取り込んだヒット曲は数多くあります。1970年代、ファンキーなディ

Ultimate
dbx 160 compressor / limiter
dbx 160 compressor / limiter

オリジナルのdbx® 160は、1970年代の他のコンプレッサーと比べ、非常に歪みが少なくクリーンなサウンドで、特にドラムのコンプレッサーとして評価されてきました。入力信号に素早く反応するdbx 160コンプレッサーは

Ultimate
Eddie Kramer Bass Channel
Eddie Kramer Bass Channel

Eddie Kramer、ベースチャンネルを語る: 「Eddie Kramer Bass Channelの背後にあるアイデアは、威圧的にならず切り裂くような、プレゼンスたっぷりのファットベースを作り上げるということ。一般的に中低域に特徴を

Products
Promotion
Solution
Contents
Support
Company
Instagram YouTube