
【MI FESTIVAL】ライブミックスの裏側〜荒田洸スタジオライブを終えて〜 Supported by J-WAVE
海外でも注目を集め続けているエクスペリメンタル・ソウルバンドWONKのリーダー/ドラマー/シンガーソングライターの荒田洸さんをゲストに迎え、早稲田のArtware Hubからスタジオライブを配信、ソロとしては初のライブということで600名を超えるファンの皆様に視聴頂きました。Waves eMotion LV1を使ってミックスされた音源は、翌々週のJ-WAVE SONAR MUSICでも放送されました。
このページでは、ライブ終了直後に行われたJ-WAVE放送技術部の新井さんへのインタビュー内容を抜粋してお届けします。
2020.01.01
Waves e-Motion LV1、お気に入りのポイント。
『まずはそのサウンドですね。解像度が素晴らしく高いことです。ただ、解像度の高い卓っていうと、その質感として冷たい感じやぬるっとした感じになってしまうこともあるんですけれども、この卓に関してはそういう部分がありません。他のデジタル卓でもSuperRackを使うとプラグインは挿せますが、音が送られない、戻ってこないというときに確認するポイントがたくさん出てしまうのですが、LV1は画面で見えているところにプラグインをさせば間違いないっていう部分での安全性というかとてもシンプルですね。遅延のアライメントも自動でやってくれるので不要です。』
ライブミックスでお気に入りのプラグイン。
『実はそんなにたくさんのプラグインを使っているわけではありません。複数のプラグインを例えばEQはこれ、Compはこれとか分けてしまうと、音を作っていくときに、いちいちウインドウを切り替えてそれぞれのパラメータに触る必要が出てしまいます。そういった操作性の面でチャンネルストリップ的なプラグインが重宝します。その中でも僕が一番好きで使っているのはこのScheps Omni Channelで、他のストリップ系プラグインにないポイントで言うと、やっぱりサチュレーションですね。ディエッサーも内蔵されていますし内部フローも組み換えできるので、ほとんどのチャンネルはこれ1台で完結できますね。何か特別な味付けをしたいとか、修正すべき要素がある場合に追加のプラグインを足す感じですね。』
『Padのトラックには今回Brauer Motionを使ってみました。Padはモノラルで出ているのですが、トラックの中にウインドチャイムが入っていて、モノラルでは味気ないので、このBrauer Motion、いわゆるオートパンナーですね。これを使って点で定位させずに流れを出しています。』
『ノイズ処理系のプラグインも使ってみました。ウッドベースの回線ですが、曲終わりがベースのみで終わるところがあって、楽器全体がなっていれば気にならないSNがそこだとちょっと気になってしまいます。通常ノイズを切るというとシンプルにゲートで切ることになりますが、全帯域に対してカットしてしまうので、これも楽器単体で鳴るときに不自然さが出てしまうんですね。鉄板のWavesのノイズリダクションというとこのWNSです。これを入れると全帯域に出ているノイズ成分の中の耳につく高い帯域のみリダクションをかけてとても自然にノイズが気にならなくなりました。これがレイテンシー無しで使えるのはすごいですね。』
インターネット配信ミックスで気をつけていること。
『YouTubeでまず出てくるのがラウドネスですね。FM放送でミックスをするときっていうのはラジオで放送をされる前提でやります。ラジオは最終段で結構強烈なマルチバンドのリミッターといって小さい音を持ち上げ、大きい音は下げるっていう処理が複合された放送用の専用のプロセッサーがあり、基本的にはどう作ろうと同じ音量にそろってしまうという装置が後に控えているというところで、制作段階ではVU基準で運用しています。ラジオを聴いたとき、みんなが喋っている声、最近のEDMの音圧高めの曲、ビートルズの曲が連続して流れてきても、割と大きい小さいというのを気にしないでずっと通して聴けると思います。そういうプロセッサーが入っているのでVU基準でピーク管理に関してもかなりゆとりのある設定でやっています。今回YouTubeということで、-14LUFSというのは生でリアルタイムミックスすると結構難しくて、マキシマイザーを最終段に入れてピーク管理して詰めないといけない部分があります。今回この配信は無料で見られるものなので、有料配信のようにこれを待ち構えてという目的視聴をする人以外に、ちょっと前までEDMのミュージックビデオを見ていた人がザッピングで連続して見るかもしれないので、-14LUFSに合わせておかないと、音量自体が低いことによるネガティブな印象を与えかねないということで、このレベルでミックスしました。今回複数コンテンツの中の一つという前後の兼ね合いもあり、リップシンクの問題が出てしまうため大きなレイテンシーを持ったプラグインは使えなかったので、L3 LL Multimaximizerを使ってみました。』
取材協力:J-WAVE コーポレートマネジメント局 放送技術部
人気記事

客観的なイコライジングを元に「正解の音」に近づける 〜新世代イコライザー Curves AQ 〜
イコライジングで難しいのは「どこまでいじれば正解なのか」がわからないこと。自分の耳を信じるのは大事だけれど、仕上がりに自信が持てず、客観的な基準が欲しいと感じる瞬間は誰にでもあるはず。そんな悩みを解決

Waves Online AI Mastering 〜AIが実現する、プロ品質のオンラインマスタリング〜
Waves Online Masteringは、最新のAI技術とWavesの受賞歴あるオーディオ処理を組み合わせたオンラインマスタリングサービスです。数分でリリース可能な高品質マスターを生成し、音楽制作の最終工程をより速く、手軽

ボーカルが何だか物足りない!と思ったらCLA Effectsを立ち上げよう
EQやコンプでボーカルを聴きやすく整えたのに、何だか物足りない…。曲の世界観に合わせたボーカルにしたいのに、思ったような決め手が見つからない。そんな経験はありませんか?そこで頼りになるのが、グラミー賞エ

ミックスで「コンプのかけ過ぎ」を避ける7つのコツ
ミックスする時に、コンプレッションをかけすぎたり不足したりはしていないでしょうか?全てのコンプレッションに目的を持っていますか?かけすぎで躍動感が失われたり、逆にルーズすぎてかかりが弱かったりというこ

Compressor vs Transient Shaper - 使い分けを極めるTips
コンプレッサーとトランジェントシェイパーは、ともにトランジェント素材を制御し、音響的なインパクトを与えるために使用されます。それぞれのプロセッサーの違いを学び、どのタイミングでどちらを使用すべきかをみ

コンプレッサーの種類ってたくさんあるけど、どれを使ったらいいの?
今回の記事では、コンプレッサーの種類と、それぞれのコンプレッサーをどのような場面で使用するのかを学んで行きます。VCA、FET、Optical、Variable-Mu、デジタルコンプレッサープラグインなど、様々な種類のコンプ
人気製品

InTrigger Drum Replacer
InTrigger Drum Replacer は、Wavesが提供するインテリジェントなドラムリプレイスメント・プラグインです。単なるトリガー検出を超え、ゴーストノート・ダイナミクス・ブリードを高精度に解析し、プロフェッショナ

Clarity Vx
Clarity Vxは、ボーカルをバックグラウンドノイズから取り除き、あらゆるミックス、プロダクション、ポッドキャスト、ビデオ用にサウンドを整える最高品質かつ最速の方法です。Waves Neural Networks®が搭載されてい

JJP Vocals
Jack Joseph PuigによるJJP Vocalsについてのコメント: “ボーカルをミックスする時に気を付けているのは、直感と本能だ。どのディレイをとか、EQをどうするかとか、コンプレッサーの設定とか、そんな技術的な話では

Curves AQ
Wavesは常に革新を追求しています。Clarity Vx、DeReverb、Silk Vocal、IDX、Curves Equator、Sync Vxなどの開発を通じて、新たなサウンド技術の限界を押し広げてきました。そして、ついにEQにも革命が起こります。

Platinum
モチベーションも高く制作を進め、ミックスも基本のプロセッシングからキャラクターを生かしバランスを取った作業ができた。数曲をトラックダウンして、作品として発表するところまでもう少しという段階。ここまでく

Diamond
インスピレーション、閃いたアイデアをトラックへと作り上げ、数々のツールを使ってミックスし、磨き上げ、最高の状態でトラックダウンする。Diamondは、Platinumバンドルのプラグインをすべて収録し、さらに原石と

Curves Equator
Wavesは30年間にわたりEQを設計してきました。しかし、もっと正確で、もっとパワフルで、もっと効率的で、さらに楽しいEQがあったらどうでしょう?近年、スタジオのテクノロジーとワークフローのほとんどすべての面

Horizon
音楽の創造は1990年代にアナログからデジタルへ、ハードウェアからソフトウェアへ、2000年代にはコンピューターのパワーの上昇によりインザボックスでの制作、ミキシング、マスタリングは一般的なものになりました。