ブルース・ディッキンソン(Iron Maiden)の全米ツアーで、LV1 Classicを使用したFOHミキシング・メソッド
FOHエンジニアのケン“プーチ”ヴァン・ドルーテン(Ken “Pooch” Van Druten)と、モニターエンジニアのケヴィン“テイター”マッカーシー(Kevin “Tater” McCarthy)が、ブルース・ディッキンソン(Iron Maiden)の2025年「Mandrake Project」全米ツアーにおいて、Waves eMotion LV1 Classicミキシングコンソールを使用してミックスを行う様子をご覧ください。
プーチとテイターは、それぞれのセットアップの好みや処理設定を紹介しながら、実践的なミキシングの必須テクニックを余すところなく共有しています。
2025.10.15
世界的FOHエンジニアが明かすライブミックスの裏側
ゲインステージ・オブ・コンプレッション
ケン“プーチ”ヴァン・ドルーテンのミキシング哲学の中心にあるのが、「複数段階の軽いコンプレッションで音を整える」という考え方です。彼はこう語っています。
「1つ目のグループで3dBのコンプレッションをかけて、さらに2つ目のグループで3dBのコンプレッションをかけるんだ。」
1段で強く潰すのではなく、複数のゲインステージを経て自然に音を引き締めるのが彼の流儀。そのために、ドラムキットには以下のような複層的なバス構成を採用しています。
ドラム信号のルーティング構成
1:初段グルーピング
- シェル・ドラム(Group 1 & 2):キックやスネアを2つの異なるグループへ送り、それぞれ異なるタイプのコンプレッションで「スナップ感」を作り出す。
- シンバル(Group 3):ハイハット、ライド、オーバーヘッドなどは専用のシンバルグループへまとめ、独立したトーンコントロールを行う。
2:サブグループ統合(Band Bus)
これら3つのグループを**「Band」バスへ統合。このバスにも軽いコンプレッションをかけ、バンド全体としてのまとまりを演出します。
3:最終ルーティング
Bandバスの出力は、最終的にメインL/Rマスターへ送られます。同じ手法はドラム以外にも、ボーカルやギターなど主要パートにも適用されています。
マスターバスのプラグイン・チェーン
最終的なサウンド形成は、以下の4つのWavesプラグインで構成されています。順番と役割を理解することで、彼の“ライブ=レコード”という哲学がより明確になります。
- Abbey Road Mastering Chain:Mid/Side処理でステレオフィールドを拡張し、奥行きと広がりを演出。
- C6 Multiband Compressor:各帯域を最大3dBまで制御し、ミックス全体のダイナミクスをスムーズに整える。
- L3 Ultra Maximizer:ラウドネスを持ち上げ、スタジオレベルの“レコード感”を実現。
- Graphic EQ:ライブ中に発生する耳障りな帯域を素早くカットするための修正用EQ。
緻密さが生む、スタジオクオリティのライブ
プロモーション
人気記事
MIXを始めよう!5つのステップでアプローチ
ミックスと一言で言っても、どこから手をつけたらいいのでしょうか。ローエンド、ボーカル、それともやみくもにフェーダーを触ることでしょうか?ご安心ください。ここでは曲を仕上げるための5つのステップをご紹介
トップエンジニアからの金言。ミキシングのTips
今日は世界一級のエンジニアが送るミキシングのTipsですが、具体的なTips(例えば、EQやコンプをこんな風にセッティングするとか)は1つもありません。しかし、ミックスをするにあたりとても大事なことが数多く含ま
リズム隊のミックスTips! – Vol 4 タム&トップマイク編
ここまでキック、スネア、ハイハットと来ました「リズム隊のミックスTips」。本日はタム編とトップマイク編。いずれもドラム音源にBFD3を使用していますが、他のドラム音源や実際のドラムレコーディングでも参考にな
Waves CA導入事例:ラスベガスの高級ラウンジのサウンドをブラッシュアップ
AVインテグレーション、デザイン、エンジニアリングのリーディングカンパニーとして知られているNational Technology Associates(以下NTA)が米国ネバダ州ラスベガスの新しいダイニング「Todd English's Olives」の
CLA-2A vs. CLA-3A クラシックコンプレッサーの違い
LA-2AとLA-3Aは、最も有名なコンプレッサーと言っても過言ではないでしょう。これまでボーカルやベースなどの楽器に長く愛されてきました。今回は「真空管モデル」と「ソリッドステートモデル」の比較。あなたのトラ
Curves Resolve 2026年1月21日発売!
Wavesから、インテリジェンスなマスキング除去処理を可能にする新製品 Curves Resolve が2026年1月21日(水)に発売されます。
人気製品
Abbey Road Chambers
美しいナチュラルチェンバーリバーブから近年人気が急上昇しているディレイカスケードなど、アビーロードの第二スタジオに設置されたエコーチェンバーの豊かなサウンドは今や伝説となっています。長年に渡って失われ
API 2500
API 2500はAPIパンチ感とAPI独自のトーンを得られる、ダイナミクス・プロセスツールです。デュアルチャンネル・デザインにより、API 2500は1つのコンプレッサー設定で2つの独立したモノ・チャンネルとして動作させる
Bass Rider
Bass Riderは、ベースのトラックにインサートするだけでレベルを自動的に調整する、画期的なプラグインです。人気のプラグインVocal Riderと同じく、使い方もシンプルなBass Riderは、コンプレッサーとは違って、ベ
Bass Fingers
ベースの奏法の中でも最も微細なニュアンスを表現するフィンガーピッキング(指弾き)を再現。リアルなサウンドのベースラインや経験豊富なベースプレーヤーの個性的なサウンドを、キーボードで直感的に演奏すること
C1 Compressor
コンプレッション、エキスパンジョン、ゲート処理まで対応する、フル機能のダイナミック・フィルタリング・プロセッサーです。
CLA MixHub
エンジニアのコンソール・ワークフローを完全再現する こんなプラグインは、かつてありませんでした。CLA MixHubは、スタジオの神話とも謳われた名エンジニア、クリス・ロード・アルジによる、濃密でなめらかなアナ
Clarity Vx DeReverb
AIを使って、どんな部屋でも、どんなボーカルでも使えるようにしましょう。Clarity Vx DeReverbがその作業を代行し、プロフェッショナルなサウンドのボーカルとダイアログのレコーディングを瞬時に、最高の忠実度で
Curves Equator
Wavesは30年間にわたりEQを設計してきました。しかし、もっと正確で、もっとパワフルで、もっと効率的で、さらに楽しいEQがあったらどうでしょう?近年、スタジオのテクノロジーとワークフローのほとんどすべての面