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ドラマチックなボーカルを作る5つのテクニック

ドラマチックなボーカルを作る5つのテクニック

マルチ・プラチナムレコードを多数手掛けるプロデューサー、ソングライターであるエリック Blu2th グリッグスは、Dr. Dreのプロダクションチームのメンバーです。そのグリッグス自らがDr. Dre自身から得た最高のアドバイスを含むボーカルプロダクションのヒントTOP5をあなたにご紹介します。

2023.03.01

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ソングライター、プロデューサー、マルチインストゥルメンタリストとして活躍するエリック "Blu2th" グリッグスは、クリス・ブラウンとジョーダン・スパークスの大ヒット曲「No Air」の共同作曲、共同プロデュースをはじめ、アレサ・フランクリン&ドリームガールズのレコーディング、Dr.Dreのプロダクションチームの一員としてアンダーソン・ドット・ピークやエミネムとのコラボなど、あらゆることをやってきました。

Blu2thに、LAのラッパーHopsinをフィーチャーした最新曲「Is it the end or the Biginning」の制作する際に参考にしたボーカルの音作りの秘訣を尋ねてみました。その中にはDr. Dreにオリジナルのデモを持ち込んだときに受けた貴重なアドバイスも含まれています。

本記事で取り扱うボコーダーリードボーカル用のプリセット、ボーカルを太くするプリセット、ワイドなバックグランドボーカル用プリセットは以下よりダウンロードしてお使いください。

こちらからプリセットをダウンロード


Tips 1:ボーカルは曲をなぞるのではない、高めあうのだ

私が最初にボーカルをレコーディングしたとき、最初のバースの前半は完成したものよりも少しアグレッシブな感じだった。その後、Dr. Dreにこの曲を引き継いだときに、彼はウイスパーっぽいトーンでサスペンスなムードを作っていて...これが完璧だったんだよ。Is it the End or the Biginningの最初のバースを聴けば、その意味がわかると思う。

よりミステリアスで、より切迫した雰囲気になっている。激しさとはアグレッシブさだけじゃなく、柔らかさや大きさからも作り出すことができるんだ。

それからボーカルをレコーディングするときは、アレンジの位置によって感情のニュアンスを変えてみるのもいい。一定の感情で歌うのではなく、曲の中で変化をさせていく。そうすることで緊張感や盛り上がりが生まれて、リスナーとずっと繋がっていることができるんだ。この点をHopsinはすごく気に入っていて、だからこそこの曲に参加したいと言ってくれた理由だね。感情を変化させていくこのやり方はドープだ!って言ってたよ。

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Dr. Dre制作チーム。左からBlu2th、トレヴァー・ローレンス、ローラ・ロメロ、デム・ジョインツ、ドクター・ドレー


Tips 2:冒頭からリスナーを惹きつける

きっとあなたは、リスナーが曲の頭から最後までを聞いてくれて、次の曲も聴きたい!と思わせるようなトラックを作りたいはずだ。だから私はIs it the End or the Biginningで "普通" じゃない、奇妙なボーカルエフェクトをかけたかったんだ。私のこのOVoxプリセットはリスナーが「おっ!なんかすごい、これ何?!」と思ってくれるようなボーカルシンセサウンドを与えてくれるよ。

アカペラサンプル:OVox使用前
アカペラサンプル:OVox使用後
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Blu2thのOVoxセッティング


Tips 3:バッキングボーカルに動きをつける

Is it the End or the Biginningでは、ラップの後に歌を入れることで言葉による刺激を持たせ、リスナーを惹き続けることを意識していた。

このために行った工夫がある。リードボーカルは真ん中にいるので、バックボーカルにMeta Flangerを使って、ステレオイメージを最大にして、テンポに合わせないようにして揺らしたんだ。テンポに合わせず、常にランダムに変化するようなテクスチャーのようなイメージで、控えめなコーラスとフェイジング...そう、まるでバターのような効果が欲しくてね。人の耳は動きのあるものなら何でも興味を持つ。何かが動くと目に飛び込んでくるように、耳でも同じことが起きている。こうすることで、リードボーカルからはフォーカスを奪うことなく、バックボーカルに何か面白いことをさせることができるわけだ。

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Blu2thのMeta Flangerセッティング


Tips4:ほんのちょっとのリバーブがとても役にたつ...

リードボーカルに関する私からのヒントを1つ。Pro Toolsのテンプレートには、最低でも2種、時には3種類のリバーブAUXトラックを用意する。そのうちの1つは、ディケイタイムが非常に短いTrue Verbを使う。このトラックにほんのちょっと、本当にわずかにボーカルを送ることで、ボーカルのサウンドに影響を与えず存在感だけが大きく聞こえるようになるんだ。リバーブっぽい使い方をするんじゃなく、ボーカルにメリハリをつけるためのエフェクトとしてだね。

私のいつものフローとしては、TrueVerbをデフォルトの設定でスタートして、ディケイタイムを思い切り下げる。次にボーカルをセンドして音が聞こえるところまで上げ、そこから「聞こえるけど目立たない程度」まで下げる。この状態でオフにすると、急にボーカルが薄くなったように感じるはずだよ。

P.S. ああそうだ!このテクニックはボーカル以外にも使っているよ!

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Blu2thのTrueVerbセッティング


Tips 5:ボーカルエフェクトで曲のドラマを引き立てる

ボーカルエフェクトをミックスで使うなら、クリエイティブな意図をもって使った方がいい。Is it the End or the Biginningでは、それぞれ異なるフィーリングをもつ一連の音楽的な動きが、徐々にクライマックスへ向かっていくところが最大の特徴。2番目のバースの冒頭には、アメリカの市民権運動の原動力となった人物に捧げるものという意味で、嵐の前の静けさを表現したボーカルを入れたりもした。

私は自分に問いかけてもみた。この闘いにおいて、私たちがいるこの場所はどこなのか。これは終わりなのか、それとも始まりにすぎないのか?

だからこのパートは、ほとんど朗読のような、でも未来的な響きにしたかった。このフィーリングを出すために、複数のボーカルテイクを重ねたものをVocal Benderを使って強調して、ドラマチックな効果を狙ったんだ。

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Vocal Bender

Vocal Bender未使用
Vocal Bender使用

自分で声色を変えつつ、さらにVocal Benderで各トラックのピッチとフォルマントをごく僅かに変えることで、耳を引く内なる強さを演出することができた。強弱のコントラストや表現が強いパートだから、この音が入ったとき、リスナーは2番目のバースがまた始まったと感じるはずだ。

私が言ってることはすごく重要なことなんだけど、音的に注意を引かなければ誰も聞いてくれない。情報量が多ければいいというものではないし、これは音楽であって本ではない。ここはすごく大事で、音楽は本ではなく"音楽"なんだということを意識しないといけない。歌い方とエフェクトの掛け合わせは、映画でいうところのカラーコレクトと同じように連動をしている。リスナーに雰囲気を示唆することであったり、感情的なサポートをするものなんだ。

Is it the End or the Biginningのビデオを見て、その色使いを見てみて。目で感じられるその雰囲気こそ、私がここで話している音楽のことと同じなんだよ。

Wavesが私たちアーティストに、レコードをより説得力のあるものにするためのツールを開発し続けていることにはすごく感謝している。これは本心からそう思う。最終的にリスナーを惹きつけるのはサウンドパッケージだからね。それがなければ、誰もコンテンツを楽しむ機会なんかないはずだ。レコードの成功には歌詞や音楽の内容はもちろん、音の選択が大いに関係している。アーティストが表現したいことをサウンドトリートメントで実現することが何よりも大事で、それをたくさん吸収した方がいいね。Wavesはそのためのツールを膨大に用意していることには脱帽するし、こちらがどんな表現をしたいと思っても、そのためのプラグインが揃っているよ。

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