WAVESシングルプラグインピックアップ:Renaissance VOX
日々増え続けるWAVESプラグインの中から1つを取り上げてご紹介するWAVESシングルプラグインピックアップ。今日は、WAVES初期(WAVESは1992創業)のプラグインであるにも関わらず、今もなお世界中で稼働率の高い、Renaissance VOX(RVox)をご紹介いたします。
2020.01.01
WAVESからリリースされているRenaissance(ルネッサンス)シリーズはいくつものプロセッサーがあり、Renaissance EQ、Comp、Reverb、Bass…等々、複数のプラグインがあります。この中の1つが、RVoxはその名が表す通り「ボーカル用のコンプ」です。そして一番の特徴は「たった3つのスライダーだけ」ということ。もっと言えば、主には真ん中の「Comp」のスライダーだけ調整すればOKということ。真ん中のスライダーを下げれば下げるほどボーカルに適したコンプがかかり、ボーカルがグッと前にでてきて、いかにも主役!といった立ち位置に来てくれます。やることは、ほぼこのスライダーを動かすだけです。
世の中には複雑で多彩なパラメータを膨大に装備したプラグインがいくつもありますが、RVoxで求められる作業はたった1本のスライダーを必要な量だけ下げること。この間は耳に全ての集中力を注いで、良いところで抑えるという鍛錬も伴います。もっとも抑揚の大きい楽器であるボーカルが、程よく楽曲の中に溶け込む程度までコンプされるところまでフェーダーをゆっくり下げていきましょう。
ボーカルが歌っていないところのフロア・ノイズであったり、ボーカル以外の要素がカブってしまったら、左のスライダー”Gate”を必要なだけ下げましょう。ここはメーターも兼ねていますので「ここから下のボリュームはカット」という判断が素早くできます。
とにかく音楽的
RVoxでボーカルにコンプをかけていくと気づかされるのが「とにかく音楽的」ということ。曖昧な表現ですが、多くのユーザーに評価を受けるポイントでもあります。複雑なコンププラグインを使って、やれ「アタックタイムだ、レシオだ、ニーだ、リリースだ」といった調整を一切することなく、あらゆる楽曲にマッチしてくれることでしょう。ユーザーは耳に集中して、真ん中のフェーダーを下げていくだけです。
実はボーカル以外にも
これはWAVESスタッフから聞いた話ですが、RVoxの中身は同社の人気リミッタープラグイン、L2をベースにしたもので、RVoxはL2の「ソフトニー」バージョンだということ。つまり、ボーカルだけでなくシンセやドラム、いくつかのトラックをまとめたバストラックにも使えてしまうのです。ミックスしているトラックを「ちょっとだけ手前に持ってきたいな」と思ったら、RVoxをインサートしてほんのわずかCompスライダーを下げるだけで、フッと手前に持ってきてくれる効果が得られます。
ミックスをする上で音を「手前に持ってくること」は、なかなか難しい作業の1つとも言えますが、RVoxがあれば直感的に、かつ誰にでも使えるデザインで実現しています。
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